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革紐制作までの道

革紐制作までの道

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 こちら1つ前型のAudi TTクーペ 

現在この仕様はもう無いそうですが、当時はオプションでシートの形状が選べたのだそうです。

我々こちらのシートに使用されている革紐を制作しています。

皮のなめし(革の制作)が終わると、確認後カット(革紐制作)に入ります。

ようやく私達の手元に紐となってくるのはおそらく中旬です。

実は今回は希少な革だったために少々時間がかかってしまいました。

 

通常、車のシートはクロームなめし(車種によってクロム以外が定番でもある)ですが、

こちらは 特殊なミョウバンでなめした革を使用して作られた紐 なのです。

なので今回の制作は「なめし」から行いました。

このミョウバンなめしは、革の真が鮮やかな黄色であるのが特徴で、この鮮やかな黄色は

クローム の革を染めてもなかなか難しいのと、ミョウバンなめしで仕上げた革紐は裁断した断面が

なかなか解にくい という特徴があるのです。(特にサイドサポートの1番あたる箇所に 使用されて

いる革紐なので擦れに強い方が好ましいです)

 

 

実はこのミョウバンなめしが現在日本で制作されていないということが、私ものちに知ったのですが

当初二つ返事で革の制作を引き受けてくださった方はミョウバンなめしをご存じなかったのです。

 

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そして仕上がった革のサンプルが送られてきて...。

 

良く見ると真の鮮やかさが足りない。慌てて連絡するがミョウバンが無いとの理由で

 

断られてしまいました。

ここでも仕上がりの許容範囲の幅には個人差があり、これは感覚なので、お願い する前に

 

確かめる事がなかなか 難しいと反省しました。

 

※通常、革を1から制作するといっても、小ロットで20枚少なくて10枚が当り前の世界なので

  我々1枚2枚の話は大抵断られます。引き受けてくださっただけでもありがたい。

 

 

 

 

 そして、革を染める時などは、何枚でもよいわけではなく既定の枚数があるのです。

 その既定の枚数でないと、染まり具合にムラが発生してしまうのです。

 そういうこともあったりでオーダーがなかなか難しく、貴重な素材でもあるです。

 

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しかし表面の色合いやムラ加減は非常に綺麗に仕上がっておりました。

後は中の鮮やかな黄色さえなんとかするだけ...

そしてなんとかミョウバンの薬品を持っている方 に辿り着き、小ロットに満たない枚数を引き受けて

くださる工場に辿り着き、現在革を作成してもらっております。

  

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 こちらはカットサンプルですが、革の真が鮮やかで黄色い。

あとは表面の色。こちら塗装ではないのでまた加減が難しいですが、

ようやくここまできたといったところです。

 

いったい何台分の革紐が上がってくるのでしょうか?

恐らく車の台数より多いかもしれませんが、ここまで動いてくださった方の心意気は

私達も大切にしなければならない。それに国内生産のクオリティーの高さを大事にし、

もっと活用したいとの思いでお願いしました。また仕上がり次第、更新します。

 

 

 

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