まず「レストア・復元」とは、年数が経ってダメージが進行してしまったものを、もとの
形態に戻すことをいいます。自動車内装分野に関するレストアについても同様です。私達作業する側目線から言えば「レストア(復元)はどれだけオリジナルな形を再現できるか」とも言えます。
自動車内装に関するレストアの方法は、ほぼ張替えによる修復が主流です。 広範囲での経年劣化による革やビニールの修復は、張替えが最も綺麗に仕上がるからです。見た目だけではなく、耐久性なども修理に比べ非常に優れています。
しかし自動車内装リペアにも長所があります。それは極力オリジナル素材を生かせるということ。
また革とプラスチック類、ウッドなど大よそ内装全般の修復が同時に出来る(対応力の幅が広い)などです。
復元に関しての仕上がり具合はオーナー様の意向によって様々な仕上がりの形があります。
私たちがレストアをしていく中で大切だと思うことはリペアだけでなく、張替えだけでなく様々な技術の要素が必要だということです。
そして綺麗な形だけでなく、「ある時点の車のありさま」まで仕上げの選択肢を選べる、これが私達の考えるレストアです。つまり車の状態を再び調節し直せるということです。私達はこれを「リコンディショニング」と呼んでいます。
「リコンディショニング=車の状態を再び調節し直す」とはどういうことかというと、 新車の状態から10,000kmの状態、30,000kmの状態50,000km・・・ と状態に応じた仕上げを選べるということです。 つまり、「レストア・復元」がダメージの進行してしまったものをもとの形態に戻すことだとすると、 「リコンディショニング」はダメージが進行してしまったものをある時点の状態に戻すということをいいます。
色々な古き良き車を見る中で、ボディとインテリアとの時代のギャップを感じることがよくあったのです。古き良き車は、その時代を感じさせる仕上げ方をしなければ調和が生まれないのではないか?などとそんな見方をしてしまい、インテリアの復元はインテリアだけではなくボディとも雰囲気を合わせた復元の仕方が必要なのではないかと思い、自分たちなりの復元の仕方を様々な車で試みたのです。
そして試行錯誤した中、自分たちなりの復元を徐々に掴んできた矢先、丁度お誘いがあり出品した今回のノスタルジッックカーショーでロールスロイス シャドウⅠにそれを反映してみたのです。
少数の方々ではありますがご賛同いただけたことをとてもうれしく思います。
時間が経てば当然汚れてくるし、素材の劣化も進んでしまう。
そして使用頻度によっても30年後の車の姿は異なりますが、大切にされていた車をイメージしてみると...
素材のダメージ状況や、時間経過により新品とは若干違う雰囲気ではないのだろうか... そう考えていくうちに私達のレストアのイメージが湧いてきました。それが、別名「リコンディショニング」です。
私達が追求するレストアとは、「使用感」を「風合い」に変える。縫製の技術、清掃の技術、修理の技術 そのバランスで内装だけではなく車全体に合わせるのが私達のレストア形、 その技術を追求し、 形にし、残していきたいと考えています。まだまだ課題だらけではありますが、今後も進歩し続けていきたいと思います。